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生命のまたたき

何が快で何が不快で 何がその中間で

知っていたはずなのに 反対に進むたびに分からなくなるんです

ある状態に触れていると わたしは文章を書かなくなり

うたを歌わなくなり えを描かず 写真を撮らなくなります

毎日書くことが仕事なので書いているし

うたうことも業務にあるからうたっているし

えをかくし 写真も仕事に必要だから毎日何かを撮っています

そこに心があるのに、心がない 心を感じない

これが私にとっての感情鈍麻や感覚麻痺の状態です

ふとした時に ある人の文章を読んで

その人がやりたくてやっている つまりホルモンが出ている 水が出ている 文章だと

急に引き戻されて 文章を書き始めます

脳に酸素が行き渡り ああこんなに息を浅くして苦しく

生きていたのか

文字が艶々と輝くたびに 私の目は何も写していなかったのか

色が好きという感覚が戻るたびに ああ見えているのに感じていない 灰色の世界にいたと 

自身の鬱状態をありありと感じます

だけれども昔は 自分が傷つくことも 喜ぶことも 感情としては同じで

どちらも刺激となり 艶々とした創作が始まるきっかけでした

いつからこうなったか と思いを馳せながら

快がふとした時に戻るたびに あれが不快だったのかと後から認識することも、多くなってしまった近年

またたくたびに移り変わる認識と現象 

上も下も 黒も白も 光も闇も

全て白い球体に反射されて映るだけのもので

くるくると回るたびに 切り替わるだけのもので

どちらも私がただ生きているということ

恥ずかしがる人をみるたび

はにかむ顔を見るたび

枯れていく花を見るたび

湧き上がる喜びを見るたび

涙が頬を伝うのをみるたび

消えては現れるそのホルモンの上下と

その人の眼下に映るカメラの切り替わりと

誰かがまたたくたびに また一つまた一つと瞬くたびに

くるくるくるくると 変わっていく世界

すべてがあなたであり 私であり 混じり合えないものであり 混じり合っているものであり

全てただ 生命の表現であり 瞬いているものであり

その冷たさと温かさを行ったり来たりしながら 生きている

生きているけれど 犬は温かく 蛇は冷たいということ だけれども それを見る私の心はどちらも温かくなるということ だから私にとって蛇は温かいものであると思うこと 犬と蛇は異なるけれど同じであるということ

自分の世界を楽しみたいと思うこと

自分の世界を壊してしまいたいと思うこと

このまま穏やかに全て忘れたいと思うこと

忘れそうになるたびに苦しみが無くならないとしても全て覚えていたいと思うこと

あの人を殺せないなら 私を殺そうと思うこと

生きれないなら死のうと思うこと

死ねないからただ生きていること

生きていることが苦痛で 死ぬことは安寧であること

価値と状態と感覚は 誰かのカメラを通すたび

誰かが瞬くたび くるくるくるくると回る

愛おしいと思うこと 憎いと思うこと

他者を思うこと 自分を思うこと 自然を思うこと

くるくる回すたびに 回るたびに 回るのを見るたびに

いつしか違うものが見える それは苦くて温かいものかもしれない 草原に吹く風に気づくことかもしれない

白と黒が混ざり コントラストが生まれ 絵が立ち上っていくことを思い出すことかもしれない

戻りたい もう二度と戻りたくない

くるくるくるくる

枯れていく花 咲いていく花 流れる涙 笑う顔

手の温かみ 手の冷たさ 心の温かみ 心が冷たくなる理由

生き延びるために人は予測の中で生きていて

現実に触れるたびにそれを修正する

人は皆自身の妄想の世界に生きていて

交差する時に 現実が生まれる

文章が書けなくなることなんて 絶対に有り得ないことであったのに

それが起こるのだから

なんだって起こるわなぁと

それもまた瞬きなのであれば いつかまた戻るだろうか 戻らずに 何かになるのだろうか

悩む必要なんてないのに なぜわざわざ悩むのか 悩んで気持ちよくなるのか

それもまた生きるということでよいのだろうか

生きるとはなんだろうか

本当は知っているのに 知らないふりをしてまた

考えたりする

そうして私はまた明日

花に水をやりにでかける

枯れていく花に芽吹く生命

ドライフラワーに咲く花

死は温かいものであるのに

違うホルモン動態をセットされたこの脳みそをなんとかしたい

私の持ち生まれた眼鏡でその花を見たい

そうしたらその花はきっと 枯れていないのだ

思い出せそうで 思い出せない

一瞬垣間見える温かさの隙間からまた

訳もなく止まらぬ涙